市販の水虫薬について思うこと
あれ?足がかゆいな、少し皮膚がめくれているな、水虫かな?でも水虫くらいで皮膚科にいくほどでもないな。
という気持ちで市販の水虫薬を購入する気持ちはよーーーーーくわかります。
でも、皮膚科医として言わせていただくと、ちょっと待った!です。
実は、水虫かもという主訴で来られる患者さんの4~5割は水虫ではありません。なんならプロの皮膚科医がこれは水虫かな?と思って検査をしてみても、実際水虫である可能性は意外と低く7割程度と言われています。
水虫ではなく、角化や湿疹・皮膚炎だけのパターンも多いので、まったく治療は別物となります。
さらに受診前に市販の水虫薬を使用していると、さらに複雑化します。まったく赤みやじゅくじゅくもなく、検査して陽性なら話は簡単です。その市販薬が効かなかっただけなので効果のある薬を処方するだけです。しかし問題なのは検査して陰性、もしくは赤みやじゅくじゅくを伴う場合です。
水虫検査で陰性でも、それは市販薬が部分的に効果があり、一部は水虫ではないが他の部分は実は水虫なのかが不明なので、しばらくしてから再度検査しましょうという二度手間が発生することがあります。市販薬使用後に赤みがでてきた、じゅくじゅくしてきたという場合に関しては、まずはかぶれとしての治療を先に行い、その炎症が沈静化したあと水虫薬を処方することになるのですが、かぶれの治療というのは大体は抗炎症薬となるのでその間水虫は増えてしまいます。かぶれ治療がうまくいっていないのか水虫が爆発的に増えたことで皮膚炎が激しくなったのかの判断も付きにくくなります。結果、治療期間も長くかかるし、薬も複数使用しなければならず、あまりいいことはありません。市販の水虫薬はかゆみ止めの成分としていろいろ配合されてしまっており、その中のどれかの成分にかぶれを起こしやすいのです。
(まあ、私は少し変なので、そういう込み入った症例をみるのも好きなのですが患者さんは嫌ですよね。)
なのであまり効果のない市販の水虫薬をつけるくらいならシンプルに皮膚科を受診して処方薬で水虫治療をしたほうが結局は手間がかからず、よいと思います!