ケロイド
肥厚性瘢痕
🔺 肥厚性瘢痕・ケロイド
肥厚性瘢痕やケロイドは、皮膚が傷ついたあとに「過剰な修復反応」が起こることで形成される瘢痕です。傷そのものが深くなくても、体質や刺激によって発生することがあります。
▶ どんな状態?
なんらかのきっかけのあとに皮膚が赤く盛り上がったまま残ってしまうことがあります。これは「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」や「ケロイド」と呼ばれ、過剰に作られたコラーゲンや線維組織が原因で起こります。
特に、胸元・背中・あご下・フェイスラインなど、皮膚の緊張がかかる部分にできやすく、「しこりのように硬い」「かゆみや痛みを伴う」「徐々に大きくなっていく」こともあります。
💥 肥厚性瘢痕・ケロイドができるきっかけ
🔹 にきびや吹き出物
にきびの炎症が強く、赤く腫れたり膿んだりした場合、そのあとにしこり状の瘢痕が残ることがあります。特にフェイスライン・胸・背中など皮膚が厚い部分は要注意です。
🔹 ピアスの穴あけ・ボディピアス
耳たぶや軟骨へのピアス後に、ピアス穴のまわりが盛り上がって赤くなることが多いです。特に耳の軟骨や胸元はケロイドができやすい部位として知られています。
🔹 外傷・擦り傷・切り傷
すりむいた程度の小さなケガでも、繰り返し刺激が加わるとケロイドになることがあります。虫刺されやひっかき傷も要因になり得ます。
🔹 手術や注射のあと
手術の縫合跡、帝王切開や盲腸などの傷、予防接種や注射の跡が、瘢痕として盛り上がって残ることがあります。中には、皮膚の引きつれや痛み・かゆみを伴うケースもあります。
🔹 火傷や水ぶくれのあと
熱傷(やけど)は、皮膚の深い層まで損傷を受けることが多く、回復過程でケロイドや肥厚性瘢痕ができやすい傷のひとつです。
❗できやすい部位にも注意
ケロイド・肥厚性瘢痕ができやすい代表的な部位:
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胸元(胸骨の中央)
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肩まわり・上腕
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あご下・フェイスライン
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背中
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耳たぶ・耳の軟骨
これらの部位は、皮膚に常に張力がかかる(引っ張られている)場所のため、炎症や外傷のあとに異常な瘢痕形成が起こりやすいと考えられています。
▶ 肥厚性瘢痕とケロイドの違い
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🟠 肥厚性瘢痕:
炎症が起きた部分に限定して盛り上がりが見られます。時間とともに自然に改善することもあります。 -
🔴 ケロイド:
傷の範囲を超えて周囲の正常な皮膚まで広がるのが特徴。自然には改善しにくく、再発もしやすい傾向があります。
▶ 治療について(保険診療)
早期に治療を開始することで進行を抑えたり、症状を軽減することが可能です。
💉 ステロイド局所注射
炎症やコラーゲンの増殖を抑える治療で、定期的な注射により盛り上がりを平らに近づけます。初期や軽度のものには特に効果的です。
🩹 圧迫療法(テープ療法)
シリコンジェルシートやテープで圧迫し、肥厚や赤みを抑えるサポートをします。ステロイド注射との併用が効果的です。
💊 内服薬(リザベン®など)
抗アレルギー薬の一種で、肥厚性瘢痕やケロイドの炎症を抑え、増殖を予防する効果があるとされています。
▶ 手術をご希望の場合は
盛り上がりの範囲が大きい場合や、長期間改善がみられない場合には、手術による切除を検討される方もおられます。
ただし、ケロイド体質の方は、切除後に再発するリスクが高いため、手術単独ではなく放射線治療や術後の長期的な管理が必要になることが多くなります。
そのため、当院では手術をご希望される方には、総合病院の形成外科をご紹介させていただくことがございます。
💬 よくあるご質問(Q&A)
Q. ケロイド体質かどうかはどうやってわかりますか?
A. ご自身や家族に、傷あとが大きく盛り上がる傾向がある場合、ケロイド体質の可能性があります。昔の虫刺され部位やケガの部位がふくらんでしこりになるようなら可能性があります。診察で症状のパターンを確認し、必要に応じて治療方針を決定します。
Q. にきびができた段階で予防できますか?
A. にきびの炎症を長引かせずに早めに治すこと、触ったりつぶしたりしないことが重要です。瘢痕化のリスクを最小限にするためにも、早期の受診をおすすめします。
Q. ケロイド体質であれば出産前後のいつから予防や治療をしたらよいですか?
A. ご出産前のおなかが大きくなるころから皮膚の伸展が無理なくスムーズにいくよう保湿クリームなどでの保湿が重要です。また帝王切開を行った場合、抜糸後すぐからテーピングや圧迫が必須です。それでも膨らみ始めたらすぐにステロイド注射や内服などが必要となります。ケロイドは予防と早めの治療が一番重要です。
💡ポイント
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ケロイド体質の方は、小さな刺激でも大きく盛り上がった瘢痕になる可能性があるため、注意が必要です。
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特にピアスや美容医療、手術などを考えている方は、過去にケロイドができた経験があるかどうかを医師に伝えておくことが重要です。
🌿 盛り上がりが気になる方はご相談ください
肥厚性瘢痕やケロイドは、見た目の悩みだけでなく、かゆみや痛みなど日常生活に影響を与えることもあります。症状を放置してしまうと治りきらないことも多いです。保険診療内でできる範囲からしっかり治療を行いましょう。
保険診療のご予約は当日朝8時より承っております。