虫刺され
ひとくちに虫さされといっても虫の種類により症状の出方は異なります。
1. 蚊:最も一般的な虫刺されです。 蚊が吸血することによりかゆみや赤み、白く膨らんだような膨疹が特徴です。基本的には数時間でかゆみがおさまることが多いですが、かきむしることで湿疹になってしまうことがあります。
2. 蜂: アシナガバチなどの針でさされた場合、激しいかゆみや痛み、腫れが生じることがあります。また、蜂の毒液に含まれるタンパク質に対して、免疫系が異常な反応を起こすとアナフィラキシーという重篤なアレルギー反応をおこすことがあります。(アナフィラキシーの症状については下記で説明)
3. ノミ:ノミによる被害はほとんどネコノミによるものです。ネコノミはノラネコやイヌから、もしくは庭や公園などの地面から成虫が足元に飛び付いて皮膚から吸血します。ノミに刺されてもその場では自覚症状はなく、吸血されて1~2日後にかゆみや赤いブツブツができて気づくことが多いです。
4.ダニ:ツメダニとイエダニは室内で発生するダニで、マダニは野外で遭遇するダニです。ツメダニには布団や畳に接している部分が刺されやすく、イエダニには二の腕、太もも、わきの下、おなか周りなど、皮膚が柔らかい部位が刺されやすいです。マダニは野山などにおり、衣服の裾などから入り込みます。マダニは麻酔用物質を含む唾液を注入するため、刺されてもかゆみを自覚しにくく、7日間ほど吸血して満腹になると、自然に脱落します。
5. 蟻: 特にヒアリなど一部の蟻が刺すと非常に激しいかゆみや痛みを伴う反応が現れます。
6. 昆虫の毒液による反応: クモやサソリなどの毒液が体内に入ったり付着した場合、かゆみや痛みだけでなく、全身の不快感や過敏症の症状が現れることがあります。
症状
これらの虫さされによって引き起こされる反応や症状は、個人差があります。
ほどんどの虫刺されでは数時間でかゆみや赤みがおさまることが多いですが、かきむしるほどかゆい、一晩中かゆかったなどの症状があれば治療をおすすめします。
特にハチなどで重篤なアレルギー症状であるアナフィラキシーをおこした場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。
アナフィラキシーとは皮膚症状だけでなく、喉の腫れや息苦しさ、めまいや失神、腹痛・嘔吐など様々な症状が急速におこる重篤なアレルギー反応で、放置していると死に至ることがあります。アナフィラキシーが生じた場合は救急車を呼んでください。
またマダニにさされた場合、さされてから時間が経過していなければ先の尖ったピンセットなどでマダニの口器の部分を摘んで、ゆっくり引き抜くときれいにすべて除去できる場合が多いです。しかしかまれたことに気が付かず、3日以上が経過すると、マダニの口器という部分が皮膚と固くくっついてしまいます。無理な力で引っ張ると、皮膚内に口器が残り、硬いしこりを生じる場合があります。
治療
かまれたところの皮膚症状に対してはステロイド外用薬の塗布が一般的に使用されます。眠れないほどかゆい、かきむしる衝動が抑えられないなどあればかゆみ止めの抗ヒスタミン薬も併用されます。
マダニにさされた場合、その口器すべての除去が困難と判断された場合は、しこりにならないように局所麻酔をおこない皮膚ごと小さく切除する必要があります。また、マダニは日本紅斑熱、ライム病、ダニ媒介性脳炎、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症を媒介することがありますが、実際にはその可能性は低いので過剰な心配は不要です。かまれてから1か月程度は体調の変化がないか様子をみてください。
また、一度でもアナフィラキシーを生じたことがある方はエピペンの処方などが必要です。
なお、いままさにアナフィラキシーを起こしたというときは点滴加療や入院が必要になりますので、救急外来のある総合病院を受診してください。エピペンの継続処方は当院で行っておりますので、ぜひご相談ください。