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円形脱毛症

円形脱毛症とは 

分類

円形脱毛症は、毛を作る根元の「毛包(もうほう)」に炎症が起こり、免疫細胞(リンパ球)が毛包を誤って攻撃してしまう自己免疫性の疾患です。この働きによって毛が抜けてしまい、脱毛が起こります。

脱毛の範囲や程度には個人差があり、以下のようなタイプに分類されます。

🔹 単発型(もっとも一般的)

頭部に円形または楕円形の脱毛斑が1カ所だけ出現します。比較的軽症で、自然に治癒するケースもあります。

🔹 多発型

脱毛斑が複数カ所に出現します。再発を繰り返すこともあり、単発型よりもやや難治な傾向があります。

🔹 全頭型

頭部全体の毛が抜け落ちるタイプです。症状の進行が急速なことも多く、治療にも時間がかかることがあります。

🔹 汎発型(はんぱつがた)

頭髪だけでなく、眉毛・まつ毛・ひげ・体毛まですべてが脱毛する重症型で、全身の毛が抜けてしまうことがあります。

🔹 蛇行型

後頭部や側頭部の生え際に沿って帯状に脱毛が生じるタイプです。名前の通り「蛇が這ったような」形に見えることがあり、進行性かつ難治性であることが多いとされています。

 

これらの中でも、全頭型・汎発型・蛇行型は、通常の円形脱毛症に比べて治療に時間がかかる難治型とされています。症状のタイプや範囲によって、治療方針や使用する薬剤が異なります。

 

原因

「ストレスで十円ハゲができた」という話を耳にしたことがあるかもしれません。
たしかに、精神的なストレスをきっかけに円形脱毛症を発症する方もいますが、実際にはストレスだけが原因ではありません

円形脱毛症は、自分の免疫が誤って毛根を攻撃してしまう「自己免疫疾患」のひとつと考えられています。
そのため、精神的なストレスがほとんどない乳幼児に発症することもあり、ストレスの有無だけで判断することはできません。

また、発症の仕方には個人差があり、

  • 一生に一度だけ軽く脱毛するケース

  • 何度も繰り返し再発するケース

  • 広範囲にわたって脱毛が進行するケース
    など、さまざまなパターンがあります。

円形脱毛症の発症に関与するといわれている因子

  • 遺伝的素因:ご家族(親や兄弟姉妹)に円形脱毛症の既往がある方は、発症リスクが高まる傾向があります。

  • アトピー性皮膚炎

  • 甲状腺機能異常(バセドウ病や橋本病など)

  • 膠原病(全身性エリテマトーデス、関節リウマチなど)

  • ウイルス感染症

  • 過度な肉体的・精神的ストレス

  • 出産や大きな手術

  • 急激なダイエットや栄養バランスの乱れ

これらの要因が重なったときに、もともと円形脱毛症になりやすい体質の方が発症するのではないかと考えられています。

また、甲状腺疾患や膠原病、亜鉛欠乏症など他の疾患の一症状として脱毛が現れていることもあり、必要に応じて血液検査を行い、原因の特定に努めます。

 

 

治療

 

円形脱毛症にはさまざまな治療法があります。症状の重症度や進行のスピード、患者さまの年齢やライフスタイルに応じて、適切な治療を選択していきます。

 

  • ステロイド局所注射:脱毛部位に直接注射し、炎症を抑えて発毛を促します。

  • ステロイド外用療法:塗り薬で炎症を抑え、発毛を助けます。

  • 局所免疫療法(SADBE、DPCP):免疫反応を利用して発毛を促す方法で、主に専門施設で行われます。(当院ではおこなっておりません)

  • 液体窒素療法:脱毛部位に冷却刺激を与え、血流や免疫反応を改善します。

  • 紫外線療法(UV療法):紫外線を照射し、炎症や免疫反応をコントロールします。(当院ではおこなっておりません)

  • 内服療法
     ・グリチルリチン・グリシン・DL-メチオニン配合錠(グリチロン)
     ・セファランチン
     ・カルプロニウム塩化物外用液(フロジン液)
     などを使用します。これらは炎症の抑制や血流改善に効果があります。

さらに、頭部の半分以上が脱毛している広範囲の脱毛症には、JAK阻害薬と呼ばれる新しいタイプの内服薬が使用されるようになってきました。

  • リットフーロ®(12歳以上対象)

  • オルミエント®(15歳以上対象)
    いずれも医師の判断のもと、慎重に使用する必要のあるお薬です。JAK阻害薬の導入をご希望の場合は、事前にかかりつけ内科または近隣の内科での血液検査や画像検査をお願いしています。


また、急速に広範囲に脱毛が進行している場合には、入院によるステロイドパルス療法(点滴でのステロイド投与)が適応となることがあり、その際は近隣の連携皮膚科医療機関をご紹介いたします。

お悩みの程度や脱毛の進行具合により、治療法は変わります。円形脱毛症は早期の対応が大切です。気になる症状がありましたら、まずはご相談ください。

 

円形脱毛症以外の脱毛

男性型脱毛や女性型脱毛はまったく原因が異なるので治療も異なります。AGAの詳しい説明はこちら。

そのほか、エリテマトーデスという膠原病の患者さんで脱毛が認められることがあります。エリテマトーデス自体の病勢をおさえる治療をすることが最も大事ですが、落ち着いたあとも生えてくるのに時間がかかる場合が多いのと、治療が遅れると脱毛部の皮膚が線維化して硬くなってしまうとそこからは永久に毛が生えなくなってしまいます(瘢痕性脱毛)。

また、毛の成長にはホルモンバランスやミネラルが関与しており、甲状腺機能低下症や亜鉛欠乏症などで脱毛を生じることがあります。

さらに、柔道やレスリングなどのコンタクトスポーツをしている方に起こりやすいケルスス禿瘡では、白癬菌が毛に感染して脱毛を生じ、時に同じチーム内で流行します。そのほか梅毒に伴う脱毛症などもあります。菌をやっつける外用薬や内服薬が必要になります。
 
 またコロナ禍で有名になりましたが、コロナウイルスなどによる重症の感染症や、大きな手術、妊娠、過激なダイエットなどの後に、毛の抜けかわりが影響をうけ、抜け毛が増える休止期脱毛という現象も知られています。こちらに関しては基本的に無理をせず適度に休みながら規則正しい生活を送りながら生えるのを待つというのが治療です。そのあいだなるべくパーマやカラーリングなどの頭皮に負担のかかる行為は控えましょう。

激しい炎症が起こることによる脱毛では、永久に毛が生えない瘢痕性脱毛にならないように早期診断・早期治療が極めて重要です。脱毛に悩んでいる方は相談してくださいね。

 

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