帯状疱疹(ヘルペス)・帯状疱疹後神経痛
原因
帯状疱疹とは、ヘルペスウイルス科のウイルスのひとつである水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella-zoster virus, VZV)による感染症です。初めて感染すると水ぼうそう(水痘)となり、いったん治ったと思っていても、実は神経のところにずっとウイルスが潜んでいて(潜伏感染状態)、疲れたときやストレスのたまったときにウイルスがまた暴走して皮膚にでてくると帯状疱疹としてあらわれてくるというウイルス性の疾患です。
症状
水ぼうそうの場合は全身に皮疹が出ますが、帯状疱疹はその名の通り帯状(おびじょう)に体の半分だけにでます。痛みやかゆみ、ぴりぴり感が1日~数日続いたあと、赤い発疹と水ぶくれができるのが特徴です。その後かさぶた化してほとんどの場合は2~4週間であとかたなくもとに戻るのですが、重症の場合は色素沈着やクレーターが残る場合があります。
また神経に潜んでいるウイルスが皮膚だけでなく神経も攻撃しますので、皮膚病変が治ったあとも痛みやぴりぴり感の症状だけが帯状疱疹後神経痛(PHN)として長期間続くことがあります。潰瘍化するなど皮膚症状が強かった場合・初めから夜も眠れないくらい痛かったなどの痛み症状が強かった場合・高齢の場合などには帯状疱疹後神経痛、PHNが残るリスクが高いといわれています。
また顔面に帯状疱疹が出現した場合、角膜の障害による視力の低下や顔面神経麻痺、めまいや耳鳴りなどの症状が出ることがあり、後遺症となることがあるので、眼科や耳鼻科との連携や入院が必要になることもあります。
予防
ウイルス性ですので、帯状疱疹にかかった人の水疱を直接触ると水ぼうそうにかかったことのないお子さんなどは水ぼうそうになってしまいます。また水ぼうそうになってしまうと空気感染しますので、一緒の空間にいるだけで感染してしまいます。
水ぼうそうにも帯状疱疹にも予防に有用なワクチンがあります。昔は水ぼうそうの子供がいたら免疫をつけるために近寄って行ったという話も聞きましたが、近頃の日本では乳児期にワクチンで予防されますので、街中での水痘帯状疱疹ウイルスの暴露機会が減っています。つまりウイルスに対する抗体価は大人になると年々低下していることが多いのです。特に50歳以上の成人には帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。帯状疱疹ワクチンに関してはこちら
治療
アメナメビル、バラシクロビルなどの抗ウイルス薬による治療をおこないます。ウイルスの増殖を抑制するものであり、早期の治療開始が重要です。
そのほか痛みの程度に合わせて痛み止め内服薬や神経修復に効果のあるビタミン剤などが処方されます。早ければ1週間ほどで治癒しますが、体が疲れているサインですので、安静にし体力を回復することが重要です。内服だけでは痛みが抑えられない場合は、ペインクリニックなどで神経ブロック注射などをすると和らぐので近隣のクリニックへ紹介させていただきます。
痛みやかゆみの後に体の半分だけに皮疹がでてきたなどあればすぐに受診してください。