とびひ(伝染性膿痂疹)
とびひとは
とびひ(伝染性膿痂疹)は、皮膚の感染症で、特に子供に多く見られます。主に夏場に発症しやすく、細菌による皮膚の感染症が原因です。
特徴
- 原因: とびひは、主に「黄色ブドウ球菌」や「溶血性レンサ球菌」といった細菌によって引き起こされます。黄色ブドウ球菌が9割で、1割弱が溶連菌由来といわれています。これらの細菌が皮膚の傷や湿疹、虫刺されなどから入り込み、感染を引き起こします。
- 症状:
- 最初に赤い小さな水ぶくれや膿ができ、その後、それが破れてかさぶた(痂疲)を作ります。(膿と痂疲の皮疹なので膿痂疹です)
- 病変をこすったりかいたりして細菌の付着した自分の手でまた別の場所をひっかいてしまうと、膿や水ぶくれが隣接する皮膚に「飛び火」するように広がり、全身に拡散することがあります。これが「とびひ」と呼ばれる所以です。
種類
1. 水疱性膿痂疹: 黄色ブドウ球菌が原因。黄色ブドウ球菌が表皮はく奪毒素を出すので水ぶくれができやすく、破れてかさぶたが形成されます。かさぶたになる前にとれてしまうとずるっとじゅくじゅくとなることもあります。
2. 痂皮性膿痂疹: 溶血性レンサ球菌が原因。炎症が強く、疼痛を伴うことが多いです。膿や分厚いかさぶたが主な特徴です。部活をやっている元気な中高生でとびひとなるときはこちらが多い印象です。発熱、リンパ節腫脹、時に咽頭痛などの全身症状を呈することもあり、重症になると菌が産生する発赤毒という毒素によって猩紅熱のように全身が真っ赤になってしまう場合があります。
感染経路
- 直接接触: 感染した皮膚に触れることで他人にうつることがあります。
- 間接接触: タオルや衣類を共有することでも感染が広がります。
対処法
- 抗菌薬の使用: とびひの治療には、抗生物質の軟膏や内服薬が効果的です。軽症の場合は軟膏だけで治癒します。早期治療が感染拡大を防ぐため重要です。ある程度進んだ場合は抗生剤の内服が必要となります。重症の場合は血液検査や尿検査などを行う場合があります。
- 清潔を保つ: 毎日患部を含めて全身を洗い、皮膚を清潔に保つことが大切です。日中は感染部分を掻いたり、触れたりしないよう注意します。
- 患部の保護: 傷口に触れないようにガーゼで覆ったり、外出時には長袖を着用することが推奨されます。
予防策
- 手洗いの徹底: 手を頻繁に洗うことで、細菌の感染を防ぐことができます。
- タオルや衣類の共有を避ける: とびひがある人とタオルや服を共有しないようにしましょう。
- 湿疹や傷を清潔に保つ: 虫刺されや湿疹を清潔に保つことで細菌の感染を防ぎます。
注意点
とびひは特に子供同士の接触で広がりやすく、保育園や学校などで集団感染することがあります。そのため、症状が見られたら早めに相談してくださいね。