ほくろの除去
ほくろとは
ほくろは母斑(ぼはん)とも言われ、皮膚の表面に見られる黒や茶色の良性の色素斑のことをさします。 医学的には「色素性母斑」とも呼ばれ、表皮や真皮に存在するメラニン細胞やメラノサイトの集まりや増殖によってできています。ほくろが皮膚内のどの深さにあるかによって、分類や特徴が異なります。
皮膚の構造の基本
皮膚は主に3つの層から成り立っています
- 表皮(ひょうひ):皮膚の最も外側の層で、一番外から角層(かくそう)、顆粒層(かりゅうそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層(きていそう)の4つの層で構成される。
- 真皮(しんぴ):表皮の下にあり、コラーゲンやエラスチン繊維、血管、神経などが含まれる。
- 皮下組織:真皮のさらに下にあり、主に脂肪組織などで構成される
ほくろの深さによる分類
ほくろは、メラノサイトの位置がどの層にあるかによって、次のように分類されます
1. 境界型母斑
- メラノサイトの位置:表皮と真皮の境界付近(真皮乳頭層の上部)にメラノサイトが集中する。
- 特徴:平らで、色が濃い(茶色から黒色)。
- 見た目:薄い茶色または濃い色の斑点で、皮膚とほぼ同じ高さ。
2. 真皮内母斑
- メラノサイトの位置:主に真皮内に存在。
- 特徴:立体的で、ドーム状や膨らんだ形をしていることが多い。
- 見た目:色は薄い茶色から肌色に近いものまでさまざま。柔らかいことが多い。
3. 複合型母斑
- メラノサイトの位置:表皮と真皮の両方にまたがっています。
- 特徴:境界型と真皮内ほくろの中間的な性質を持つ。
- 見た目:やや盛り上がりがあり、色は濃い場合が多い。
ほくろの深さと治療方法の関係
- 浅いほくろ(表皮に近いもの):レーザー治療で簡単に除去できることが多い。
- 深いほくろ(真皮内母斑):外科的切除が必要な場合がある。完全に取り除くためには皮膚の奥深くまで治療を行う必要があることも。
ほくろの深さは見た目では完全には判断できないことがあるため、レーザーを数回しても再発するような“根が深い”ほくろに関しては切除をおすすめすることが多いです。
良悪性の見分け方
普通の良性のほくろと悪いものの鑑別方法としてABCDEルールというものがよく用いられます。
A:Asymmetry 病変が全体として左右上下対称であるか。良性のほくろは形がまるっときれいです。
B:Border irregularity 境界がギザギザしていたり、不規則でぼやけていないか。良性のほくろは境界がはっきりしています。
C:Color variegation 色が均一であるか。薄いところや濃いところがもやもやと混ざっていたり、一部が白く抜けていたり赤く見えるところがあるなど、複数の色が混ざっていないか。良性のほくろは黒か茶色の一色もしくは盛り上がったほくろの場合は色が薄くなります。
D:Diameter>6 mm 最も長い直径が6mmを超えていないか。6mm以下のものは良性のことが多いです。
E:Evolving(変化)形、色、大きさに変化がないか、潰瘍や出血をともなうなどの症状が随伴してきていないか
検査・治療
当院では皮膚科専門医がダーモスコピーなどの専門器具を使用し、診療にあたります。悪性が疑わしい、髭剃りなどでいつも出血するくらい膨らんでいる、などあれば保険診療の手術で取り除くことができます。大きさにもよりますが、だいたい3割負担で1万円くらいになります。
上のABCDE基準に全くあてはまらない小さくてきれいなほくろの除去については審美的な目的となりますので自費診療になります。デルマトロンや手術での除去が可能です。デルマトロンでの除去施術はあくまでほくろを削るイメージとなりますので、再発するリスクはありますので、再発したくない・一回でとりたいという方はくりぬき法が傷跡も目立たなくておすすめです。
ほくろは生まれつきある場合もあります。成長過程で徐々に現れることもあります。 通常は無害で問題はありませんが、まれに悪性黒色腫(メラノーマ)や基底細胞がんと呼ばれる皮膚がんの場合があります。ほくろが急に増えたり、炎症を起こして赤くなる、出血するなど変化があった場合は、基底細胞がんや悪性黒色腫の可能性があるので、早めに受診してください。
ほくろのことでお困りの場合はいつでも相談してくださいね。