保湿剤比較 種類
保湿剤にも種類があることをご存じでしょうか。
保湿剤=ヒルドイドと思い込まれている方もいらっしゃいますがこれは日本独特なようです。欧米などではセラミドなどバリア機能を高める成分が含まれているもののほうが保湿剤として推奨されていたりします。
保湿剤はざっくり大まかに「エモリエント」と「モイスチャライザー」に分かれます。
エモリエントは水分が肌から蒸発するのを防ぎ、汚れから肌をバリアする役割をもつもので、ワセリン、プロペトなどがその代表です。エモリエントは保湿力ではモイスチャライザーにやや劣りますがバリア効果、保護作用については優れています。
一方、モイスチャライザーとは水分を肌に与えエモリエントより保湿力が高いものを指し、ヒルドイドやヘパリン類似物質、尿素製剤、セラミドなどがその代表です。
カサカサな畑に水を与えるのがモイスチャライザー、その上にビニルハウスをおくのがエモリエントと考えたらわかりやすいでしょうか。
現在使用される代表的な保湿成分であるヘパリン類似物質、尿素、セラミド、ワセリンなどについて説明します。
まずは、よく皮膚科で処方されるヘパリン類似物質の保湿剤。これと同じ濃度の0.3%が配合された保湿剤がドラッグストアなどでも売っています。皮膚に水分をあたえるモイスチャライザーという種類の保湿剤で、肌本来のバリア機能を高めます。様々な剤型があるので好きなテクスチャーのものを選ぶことができます。軟膏は油分が多く保湿効果が高く刺激性が最も少ないです。クリームは軟膏よりもべたつかない。ローションは水成分が多い。フォーム・スプレー・泡状スプレーは油分がなく水成分のみなのでお子様でも嫌がりにくい。軟膏→クリーム→ローション→スプレー・泡と右にいけばいくほど油分が少なく、さっぱりした使い心地でべたつきが気になる方や夏などに向いています。
次に、尿素も保湿剤のひとつです。医薬品の場合は20%配合で、その場合、保湿効果とともに、ピーリング=角質を剥がしとる効果があります。これは手足がごわごわ、ガサガサしている人や、毛孔性苔癬といった10代からみられる二の腕や太もものぶつぶつに適した保湿剤となります。
またセラミドも保湿剤のひとつです。医薬品にはありません。私たちの肌本来に備わっている成分セラミドは乾燥した時期や加齢に伴ってその量が減ってしまいます。なので保湿で補うのが大事なのです。
最後にエモリエントであるワセリンについてです。水分を逃さずふたをする、バリアするといったイメージの薬剤です。ワセリンの中でも黄色ワセリン→白色ワセリン→プロペト→サンホワイトと右にいくほど不純物がはいっておらず純度が高いものとなります。皮膚科ではプペトをよく処方しますが、コスパは最強です。赤ちゃんでも、目周り口周りでも何回でも塗ってバリアしまくりましょう。特に花粉の時期は外出時に鼻周りや目周りに塗って粘膜へのアレルゲン直接暴露をふせぎましょう。また、口回りがあれているときには特に飲食前にワセリンを塗ってバリアをしておくと異物に対しての炎症反応が起きにくくなるので治りが早くなります。
ワセリンだけ塗って保湿効果が足りない、と思っている方はモイスチャライザーも使用しましょう。