水虫・爪白癬
白癬菌(はくせんきん)という真菌が足の指や裏など皮膚の角質や皮下組織に感染する事によって炎症などが起きます。一般には水虫という通称で呼ばれています。
原因
通気性の悪い靴を長時間履いている方、共用のバスマットを使用している方など白癬菌が繁殖しやすい環境にあると感染しやすくなります。
予防
水虫は生活習慣を見直すことで予防できます!
✅ 水虫を防ぐポイント
- 足を毎日しっかり洗い、よく乾かす(特に指の間を忘れずに!)骨格的に指がくっついている方は5本指ソックスがおすすめ
- 靴下や靴を清潔に保つ(毎日交換し、靴は乾燥させる)
- 家族でスリッパやタオルを共有しない(水虫はうつることがあります)
- ジムやプール、温泉などで裸足のまま歩かない(感染しやすい場所です)
治療
当院では、症状や進行度に応じて、外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)を用いた治療を行っています。
外用薬による治療
皮膚の水虫(足の裏や指の間にできる白癬)には、抗真菌薬を含む外用薬を使用します。症状に合わせて以下のような薬を処方いたします。
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ルリコナゾール(ルリコン®)軟膏・クリーム
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ケトコナゾール(ニゾラール®)クリーム など
爪の水虫には爪に浸透する外用薬を使用します。
- エフィナコナゾール(クレナフィン®)
- ルリコナゾール(ルコナック®)
毎日根気よく塗り続けることで、徐々に症状が改善します。
爪水虫の治療:内服薬が効果的
爪に感染が及んだ場合、爪の奥深くまで入り込んだ白癬菌を塗り薬だけで完全に治すのは難しい場合があります。実際に、塗り薬を1年間使い続けた場合の完全治癒率は約15%とされています。
肝機能に問題のない方には、内服薬による治療も一つの手段としておすすめしています。(内服中は採血検査で肝機能障害がでないかどうかチェックが必要)
主な内服薬の種類
■ テルビナフィン(ラミシール®)
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1日1回、1錠を服用するタイプの抗真菌薬です。
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一般的に6か月程度の内服が必要とされます。
- 3割負担の方であれば1ヶ月分の薬剤料は約2000円、半年ほどで終了です。(後発品の場合、薬剤費は3-4割程度安くなります。)
■ イトラコナゾール(イトリゾール®)
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「パルス療法」と呼ばれる治療法で使用されます。
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1週間内服した後、3週間休薬するサイクルを3回(3パルス)繰り返します。
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合計で約3か月間の治療になります。
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内服の回数は最も少ないですが、飲み忘れやすいので注意が必要です。
- 3割負担の方であれば1週間分の薬剤料 約7000円、3週間分で治療終了です。(後発品の場合、薬剤費は3割程度安くなります。)
■ ホスラブコナゾール(ネイリン®)
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比較的新しい内服抗真菌薬です。
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1日1カプセルを12週間(約3か月)服用します。3か月内服すると1年間爪に効果があるといわれています。
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爪組織への移行性が高く、効果が持続しやすいのが特徴です。
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1年後の完全治癒率は約59%、有効率(改善を含む)は94%と非常に高い効果が報告されています。
- 3割負担の方であれば1ヶ月分の薬剤料 は7千円、3ヶ月で終了です。(まだ後発品はありません。)
| 内服薬名 | 商品名 | 服用方法 | 服用期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| テルビナフィン | ラミシール® | 1日1回1錠 毎日服用 | 約6か月 | 長期間の連日服用で、安定した効果 |
| イトラコナゾール | イトリゾール® | 1週間服用 → 3週間休薬 ×3回 | 約3か月 | パルス療法で、飲み忘れに注意が必要 |
| ホスラブコナゾール | ネイリン® | 1日1カプセル 毎日服用 | 約3か月 | 新しい薬剤で爪への移行性が高い |
爪水虫治療のポイント
■ 内服薬の副作用について
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いずれの抗真菌薬の内服にても、まれに肝機能障害や貧血などの副作用が生じることがあります。
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そのため、治療中は定期的な血液検査を行い、安全を確認しながら治療を進めていきます。
■ 爪の改善には時間がかかります
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内服薬は新しく生えてくる爪を健康に保つ働きがありますが、既に変色・変形した爪をすぐに元に戻すことはできません。
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爪が完全に生え変わるには、足の爪で約1年かかると言われています。
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そのため、根気よく治療を続けることが大切です。
■ 外用薬との併用や補助処置も有効
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状況により、爪を削る処置(爪切り・やすりがけ)を併用することで、薬の浸透を助け、治療効果が高まります。
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また、内服薬を希望しない方や肝機能に不安がある方には、外用薬(エフィナコナゾール、ルリコナゾールなど)での治療も可能です。
まずは皮膚科での診断が大切です
水虫の症状は、他の皮膚疾患と似ていることも多く、自己判断では誤診されるケースも少なくありません。
治療を始める前に、まずは皮膚科専門医の診察を受け、顕微鏡検査や培養検査などで正確に診断をつけることが、治療の第一歩です。
当院では、患者さま一人ひとりに合った治療法を丁寧にご提案しております。お気軽にご相談ください。
治療の流れ
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診察・顕微鏡検査
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爪の一部を採取して真菌の有無を確認 当院では直接顕微鏡でみる検査のほかにデルマクイックという検査もございます。顕微鏡で陰性だった場合に本当に爪白癬がいないかどうかより詳細に検査することができます。
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内服治療の選択
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患者さまの体質や生活スタイルに応じて薬剤を選択
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定期的な通院・血液検査
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安全に内服を継続するために定期チェック
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新しい爪の成長を確認
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約1年かけて健康な爪がゆっくりと生えてくる
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他の治療選択肢
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高脂血症やワーファリン、ミダゾラムを服用中の方は、内服薬が使用できない場合があるため、主治医と相談のうえ対応いたします。
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ジェネリック医薬品を希望される場合は、やや効果は落ちますが、費用を抑えながら治療することも可能です。(ネイリン以外)
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内服薬使用中は、定期的な血液検査による肝機能のチェックが必要です。最近の研究では、高齢の方では副作用のリスクが比較的少ないことも報告されています。
肝疾患がある方へ
もともと肝機能に不安のある方には、外用薬による治療を根気よく続けていく方法をおすすめしています。塗り方や薬の選び方など、医師が丁寧にアドバイスいたしますのでご安心ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 水虫かどうか、自分で判断できますか?
A. 水虫は見た目が似ている他の皮膚疾患(湿疹や汗疱など)と間違えやすいため、顕微鏡検査などでの正確な診断が必要です。少しでも気になる症状があれば、早めに受診されることをおすすめします。
Q. 家族にうつりますか?
A. はい、水虫はうつる可能性があります。特にお風呂やスリッパ、マットの共有には注意が必要です。早めに治療を始めることで、家族内感染のリスクを減らせます。
Q. 市販薬で治ることはありますか?
A. 初期の水虫であれば一時的に症状が改善することもありますが、根本的に治るとは限りません。また、爪水虫には市販薬はほとんど効果がありません。医師の診断と適切な治療が重要です。
Q. 治療期間はどのくらいですか?
A. 水虫は治るまでに時間がかかることが多いです。皮膚の水虫で1〜2か月、爪水虫の場合は内服で3か月~1年、外用だと1年近くかかることが多いです。完治を目指して根気よく続けることが大切です。
Q. 水虫の内服薬はどんなときに必要ですか?
A. 皮膚の水虫には外用薬(塗り薬)が基本ですが、爪水虫や広範囲の水虫では外用薬が届きにくいため、内服薬による全身的な治療が必要になります。特に爪が厚く変形している場合、内服薬が効果的です。
Q2. 内服薬の副作用はありますか?
A. はい、まれに肝機能障害や血液異常(貧血など)が起こる可能性があります。
そのため、治療中は定期的な血液検査で体の状態をチェックしながら安全に治療を行います。
Q3. 治療をやめると、すぐに再発しますか?
A. 爪水虫は爪の奥深くに真菌が潜んでいるため、自己判断で治療を中断すると再発しやすくなります。
新しい健康な爪が完全に生えそろうまで、医師の指示に従って継続することが大切です。
Q4. 内服薬を使えない場合はどうすればよいですか?
A. 肝臓に持病がある方や、内服薬に抵抗がある方には、外用薬(エフィナコナゾール・ルリコナゾールなど)による治療を選択することも可能です。状態によっては爪を削る処置と併用することで効果が高まります。
気になる症状があれば、我慢せずにお気軽にご相談ください。早期治療が再発や悪化の予防につながります。
水虫の市販薬への愚痴は院長ブログにて・・・
