「しみの正体と最新治療法を院長が解説 ― メラノサイト活性からアプローチする“攻めと守り”のしみ治療」
患者さん:
先生、最近しみが気になってきて……。どうしてしみってできるんですか?
院長:
しみは、紫外線やホルモンバランスの変化、摩擦や炎症など肌への刺激が原因で、肌の中の「メラノサイト」という細胞がメラニンをたくさん作りすぎることでできます。
このとき、表皮のケラチノサイトから放出されるメラノサイト刺激因子(α-MSHなど)や炎症性サイトカイン(IL-1, TNF-αなど)がメラノサイトを活性化させ、メラニン産生経路(チロシナーゼ活性など)が過剰に働いてしまうのです。
本来、メラニンは紫外線から肌を守るために作られるものですが、過剰になると肌の表面に沈着して、茶色く見えるんですね。
患者さん:
なるほど……。でも、日焼けしただけならそのうち消えるんですよね?
院長:
そうですね。健康な肌であれば、ターンオーバー(肌の生まれ変わり)の過程で少しずつ排出されます。
ただ、紫外線を浴び続けたり、加齢やストレスでターンオーバーが乱れると、メラニンが肌にたまってしまい、しみとして残ってしまいます。
患者さん:
そっか、だから10代の頃は日焼けしてもシミにならずすんだんですね。でも、もともとメラニンって、紫外線から肌を守るためのものなんですよね?
院長:
そうです。本来は防御反応です。ですが、過剰に作られたり、ターンオーバーが遅れたりすると、メラニンが肌に蓄積して“しみ”として見えるようになります。
つまり、「作るスピード」>「排出するスピード」になると、しみが濃くなっていくわけです。
患者さん:
じゃあ、できてしまったしみはもう消えないんですか?
院長:
いえいえ、そんなことはありません。
しみができるスピードと同じように、“しみをやっつけるスピード”を上げてあげれば、少しずつ薄くしていくことができます。
そのためには、攻めと守りの両方の治療が大切です。
患者さん:
なるほど……。では、治療ではそのバランスを整えることが大事なんですね?
院長:
はい。治療の目的は「メラニンを作らせない」「ため込ませない」「早く排出する」の3方向からアプローチすることです。
当院では、しみの種類や肌質に合わせて複数の治療を組み合わせています。では、実際の治療方法を順に説明していきましょう。
【当院で行うしみ治療】
① 外用治療 ― 攻めの外用薬と守りのスキンケア
院長:
まずはじめやすいのが、外用による治療です。
「攻め」としてはハイドロキノンやトレチノインを用いて、メラニンの生成と蓄積を抑えます。
ハイドロキノンはチロシナーゼ活性阻害によってメラニン産生を直接抑制し、トレチノインは表皮のターンオーバー促進とメラニン排出を助けます。
患者さん:
ハイドロキノンでメラニンを作らせない、トレチノインでメラニンを排出する、ですね。
でも以前トレチノインを使って赤くなった人を見たことがあります。ちょっと怖いなと思っていて…。
院長:
そういう方もいらっしゃいます。
トレチノインは強力な作用がある一方で、赤みや皮むけといった反応が出やすい方もいます。
当院で使用しているトレチノインに関してはCDトレチノインというもので、6割くらいの人にしか赤みやかさかさなどの副作用を起こさない製品を使用しています。
以前トレチノインで荒れてしまって継続使用できなかった方も、当院のクリームを少量から使用して荒れずに使用継続できている方もいらっしゃいます。
赤みやかさかさが怖いというような場合は、まず「守り」のスキンケアから始めるのがおすすめです。
ビタミンC誘導体やトラネキサム酸配合の美容液で炎症を抑えつつ、メラノサイトの過剰活性を防いでいきましょう。
肌のバリアを整えたうえで、徐々に「攻め」の外用薬に移行していくのが安全です。
② フォトフェイシャル(ステラM22)
患者さん:
フォトフェイシャルってレーザーなんですよね?
レーザーだとテーピングをしなきゃいけないイメージがあって……職場でバレたくないんです。
院長:
ステラM22のIPL(Intense Pulsed Light)は、いわゆる「ダウンタイムの少ない光治療」です。
メラニンに吸収される光エネルギーで選択的にしみの原因細胞を破壊しますが、皮膚へのダメージは最小限です。
ですので、テーピングやガーゼ保護は不要、治療直後からメイクも可能です。
また、真皮の線維芽細胞を刺激してコラーゲン再生を促すので、しみだけでなく肌のハリ・くすみ改善にも効果があります。
IPLはメラニンを削って、ため込まないというイメージですね。
③ 内服治療(シナール・ユベラ・トラネキサム酸)
患者さん:
ビタミンなどの内服なら気軽に始められそうですね。以前から美肌内服には興味があったんです。
院長:
そうですね。
ビタミンC(シナール)は抗酸化作用でメラニン還元を助け、ビタミンE(ユベラ)は血行を促進して細胞の酸化ダメージを抑えます。
また、トラネキサム酸はプラスミン活性を抑制して炎症性サイトカインの放出をブロックし、肝斑にも有効です。
これらの内服を継続しているとメラニンを作らせない方向、排出する方向、両方に働いてくれます。
ただし、ピルを内服している方や血栓症の既往がある方は、トラネキサム酸の併用ができない場合があります。
診察の際に内服歴をお伺いし、安全に治療できるか確認してから処方しています。
④ ケミカルピーリング(サリチル酸マクロゴール/マッサージピール)
患者さん:
ピーリングはしみだけでなく、ハリやニキビにも効果があると聞きました。なんだか一石二鳥?三鳥?ですね。
院長:
その通りです。
サリチル酸マクロゴールピーリングは角質層を穏やかに溶かして、ターンオーバーを整え、くすみやざらつきを改善します。
一方、マッサージピール(PRX-T33)はTCA(トリクロロ酢酸)と過酸化水素を組み合わせて、真皮深層のコラーゲン再生を促しながら表皮を刺激しないのが特徴です。
肌のハリやツヤを出しつつ、しみの改善をサポートします。
ピーリングはメラニンをため込まない、排出する、という役割ですね。
⑤ エレクトロポレーション(ビタミンC・トラネキサム酸導入)
患者さん:
エレクトロポレーションはSNSで知っています!炎症を落ち着かせる効果もあるからどんな肌状態でも行える継続しやすい美容医療ですよね。
それなら、ピーリングやフォトのあとにやってみたいです。
院長:
とても良い組み合わせです。
エレクトロポレーションは微弱な電流で細胞膜の通り道を一時的に開き、有効成分を真皮層近くまで届ける治療です。
なかなか塗るだけでは到達しない量のビタミンC誘導体やトラネキサム酸を導入することで、しみの原因となる炎症を鎮めつつ、メラニン生成を抑制します。
フォトフェイシャルやピーリング後のアフターケアとして行うと、炎症を最小限に抑えながら透明感が高まります。
患者さん:
じゃあ日頃からビタミンCクリームやトラネキサム酸美容液などでのホームケアをやりつつ、スペシャルケアとしてエレクトロポレーションで深くしっかりビタミンCやトラネキサム酸を入れてあげる。
肌へのご褒美ですね。
院長:
その考えはいいですね。毎日の継続も大事、メラニンを作らせない、の役割ですね。
【メッセージ】
しみは「できるスピード」と「やっつけるスピード」のせめぎ合いです。
メラノサイトの過剰な活性を抑え、炎症性サイトカインの発生をコントロールしながら、ターンオーバーを正常化していくことが重要です。
ただ、しみ治療は、クリニックで行う施術だけで完結するものではありません。
日々のスキンケアで肌の基盤を整え、紫外線や炎症から守る「日常のケア」があってこそ、治療の効果が最大限に発揮されます。
一方で、外用や光治療などの「クリニックでのスペシャルケア」は、メラノサイトの過剰な働きを直接リセットし、しみを“やっつけるスピード”を高めてくれます。
“日常のケア”が肌の土台を整え、“スペシャルケア”が結果を引き出す。
その両方がうまくかみ合ったとき、肌は確実に応えてくれます。
毎日の小さな積み重ねと、適切な医療の力で、しみの悩みから解放される肌を一緒に目指しましょう。
